アラサー女の話

朱に交われば赤くなる

映画「私をくいとめて」を見てアラサー独身女が振り返った話




先日、私をくいとめてという映画を見た。


のん主演の31歳の独身女性、黒田みつ子が

脳内にAという相談役を住まわせて、

あれこれ相談しながら楽しく選択し、

おひとりさま生活を満喫している。

しかし、林遣都扮する2歳年下の多田くんに

恋をしてしまうというものだ。



当初相談役のA(自分)がいるなんて

多重人格みたいでクレイジーだと思ったが

映画を見るなかで、

Aは全肯定してくれる存在なのだと感じた。


アラサーになると

仕事ができるのが「当たり前」

結婚してるのが「当たり前」

テーブルマナーが出来てが「当たり前」など

努力したことですら出来て「当たり前」に

捉えられるようになった。


当たり前のハードルも

出来なかったら異端、と

逆のハードルも上がる。


年々高くなるハードルを飛び越えられたら

誰かに褒めて欲しいし、

失敗しても、誰かに慰めて欲しい。


特別綺麗でもなく、お金持ちでもなく、

仕事ができるわけでも家庭があるわけでもない。SNSで気持ちが満たされるわけでもない。特にクリスマスの時期なんて独身彼氏なしアラサーには目に毒だ。


一番知ってる自分に全肯定して欲しい。

だからこそAは生まれたのかもしれない。


「恋をする」ではなく「恋してしまった」と

表現されているところがミソだ。


みつ子は失恋から恋愛から数年離れていて元々から、恋愛に積極的でない。

恋愛は大きくいうと他人との交流だ。

大人になって知り合いがちな

ビジネスライクな関係や

コミュニティの関係よりも深く

時間も精神的な内面をさらけ出しながら、

相手と自分をチューニングして

関係を築くものだと感じる。



他人といるのは嫌ではないが、元来寂しがり屋でなくておひとりさまを満喫してる中に、他人が入ってくるのは楽しいだろうが、ちょっと息が詰まってしまう。



どんなに好きな人から夜中に突然「会いたい」と連絡が来ても、会わない。さらに、いきなり連絡する人間性に幻滅するだろう。


好きな人からの突然の会いたいという連絡を

苦手に思う女もいるのだ。

慣れ親しんでるおひとりさまスタイルに

ズカズカ入り込まれたくない。




多田くんが好意を含んだスキンシップをし

みつ子がたじろくシーンがあるが、

とても共感できた。

自分に敵意があってやってないと

分かっても、怖くなってしまうのだ。


下着がボロいとか毛の処理が出来てないとか

そもそも性欲がないとか

男性に触れられたことがないからとか

それがメインの理由でない。


女性用風俗で体を触れられたら

異性からのスキンシップを怖がらないかと

思って利用したが

経験上、そうではなかった。


他人との距離の取り方が分からない。

他人が自分の中に入ってくるのが苦手だ。

恥ずかしくて拒むのもあるだろうが、

どうすればいいかが分からない。

嫌われるんじゃないかとか、

色々考えるのだ。




以前交際していた人から

「スキンシップ苦手?恥ずかしがり屋だよね。」と言われた。


風俗で知らない男に

もっといやらしい触られ方して、

毎晩のように自分の体で遊んだり、

おもちゃに遊ばれたりしてるのに‥。


そのときは笑ってごまかしたが、

ウブだけど、そんなことしてるようには

見えないんだと複雑な気持ちになった。


当時好きなときに言われて少しだけ悲しかった。その当時、私も体を触れられても不快じゃなかったのに怖くなって引いてしまったり、家にあげるのがとんでもなく怖かった。

今思えば、男性に警戒心を抱いてるだけじゃなくてパーソナルスペースに入られたくなかったのかもしれない。


そんなにパーソナルスペースに入られたくないのに性欲はあるし、孤独だって感じる。好きな人が嫌がることをしたくないと思う人なら体を触れてこなくなる。


そもそも、セックスレス以前の問題だ。


うまく距離を取れずに、伝える術もなく

何のスキンシップもないことに悲しくなり

お酒で意識をなくして

「私って魅力ないの??」と

知らない男に泣きながら

服をポンポンと脱ぎかねない。

まともな男は離れていくし、

狂った男ですら、地雷と認定するだろう。

恋愛が苦手な私ですらヤバイ女だと思う。



突発的にマグマのような熱い感情が

吹き出し、色んなものを失うのも

怖い。


暴力的で激しいエネルギーに焦がれるが

制御できないと元も子もない。




みつ子の物語は進む。

なんだか、恋をしたいし

やり方覚えてないし、

でもみつ子みたいに

ほんの少し他人と向き合いたくなった。