アラサー女の話

朱に交われば赤くなる

ピンヒールを買った




タイトル通りだ。

初めてのピンヒールだ。

元々ヒールの靴はたまにしか履かない。

仕事でもスニーカーだ。むしろ、職場で

ヒールの靴を履くほうが怒られる。

正直スニーカーの方がたくさん歩けるし、

脚も痛くならないので好きだが、

どうしてもピンヒールが欲しかったのだ。


ピンヒールといえば大人の女性が履くもの、

色気の象徴、そんな印象を抱いている。


そんな女性らしさがあるものが欲しい。

身につけたい、そう思った。



東洋医学では女性は7の倍数、男性は8の倍数のときに体に変化が起きるそうだ。

年齢だけでいうと、私は東洋医学でいう美しさのピークらしい。

自分の限界を決めつけるのはよくないだろうが、美しいとされてる目安の時期に、履いたことのないピンヒールに興味を持った。


顔面をアップデートして

高校生の時についてた子どもの肉が削げ、筋トレを始めた影響か女性らしい肉付きになった。容姿へのマインドも前よりも肯定的になった。



ピンヒールを検索すると値段に目玉が飛び出そうになった。貯金は好きだが、旬に綺麗に着飾りたい。残念ながら花の旬は続かない。



周りの人が結婚や出産、中には住宅を購入する人も出てきた。私は結婚もしていないし、パートナーもいない。パートナーがいたときに性的なこともほぼなかった。せいぜい定職があるぐらいだ。

最近、将来子どもを産めるのか、育てられるのか、と不安になるようになった。

また、結婚した友人を見てると生活が大変になった人もいる。独身時代と同じ収入でも、同じ生活が送れるわけではないようだ。


リアルなアカウントや人の前では時折襲うそんな気持ちを悟られないように振る舞う。


怖いものや苦手なものへの対応ができても嫌なものは嫌で、怖いものは怖い。子どもの頃のままだ。



生活を頑張っても、報われないようなモヤモヤとした気持ちがピンヒールが蹴散らしてくれるような気がした。買うなら今しかない。そうとさえ思った。




1週間後にヒールを探しにお店へ行った。


ピンヒールにもいろんな種類があることが分かった。靴の横幅で履きやすさが変わるようだった。ピンヒールはデザイン上靴の横幅が狭いものが多かった。また、ヒールの高さやヒールの太さで歩きやすさや安定感が全然違うのを実感した。数点試着して履いて歩き、靴に合わせられる服装なども親切な店員から教えてもらい、気に入ったものを購入した。


ピンヒールは正直慣れないし、歩きにくい。

不安定さといえばこのご時世の動向のようだし、年齢とともに姿が変わる自分のようだ。


ピンヒールを履いた私はお世辞にも、色気があるようには見えない。ヒールが不安を蹴散らしてくれたとは言い切れない。


それでも、履いたから分かる世界もある。ちょっとずつ慣れて、いつか行動してよかったと思いたい。