アラサー女の話

朱に交われば赤くなる

ドアを隔てた非日常


最近ビジネスホテルに宿泊するのが

趣味になりつつある。


この3ヶ月の間に4回だ。今まで年に23回ほどしか行ったことがなかった。幸か不幸か敷居が高かったビジネスホテル宿泊も慣れてしまった。貧乏性なので、クーポン利用が可能な場所を探し予約した。


今回も大当たりだった。ホテル運がいい。


ビジネスホテルに泊まるようになって気付いたのだが、最近のビジホ、娯楽施設じゃないか?と思うぐらいに機能性が充実し、1人こそ楽しめる場所になっていた。



ホテルの大浴場=ショボいと思うこと勿かれ。大浴場もバスタブ1つだけでなく、内湯外湯サウナまでついている。外湯も外装が美しくどこかの行楽地に来たのではないか?と思うぐらいだった。ウォーターサーバーもあり、水分も摂れる。ドライヤーがPanasonicのナノケアドライヤー、ダイソン、リファ(これは女性専用部屋のもの)など美容心くすぐられる。別途の使用料も取られない。また鏡台の近くにコットンや綿棒やブラシやヘアゴムまで付いている。しかも個包装。衛生的。外国人観光客もいない今、時間帯を外せば1人で独占もできる。健康ランド、それ以上に匹敵する。


食事はピンキリだろうが、郷土の食事があるところも多く幼い頃給食で食べていたあの美味しさだった。しかも一品だけでなく数品。ご家庭でもこんなに品数を作ることなんてない。そんな郷土料理をしっかり食べられる。

出身県にずっと生活している影響もあり郷土料理だと思ってなかったものを実は郷土料理だと知るいい機会でもあった。

もちろん郷土料理以外にも野菜や焼き魚、卵焼きとスクランブルエッグも同時に食べられるのだ。卵焼きとふわふわスクランブルエッグどっちも食べられるだなんて贅沢だ。自分では絶対作らない。


館内着もすぐはだける浴衣だけだと思っていたが、ゆるぶかの上下セパレートのパジャマではだけるのを気にしないでもいいし何より動きやすい。



今回泊まったところだけかもしれないが室内の家電がオシャレで機能性が高いものだった。浴室のダイソンのドライヤー、食堂はバーミキュラの炊飯器、バルミューダのトースター。何よりホテルの部屋のケトルがバルミューダで口が細長いものだった。デザイン性の高い部屋に溶け込んでいた。しかもカップ3種類あり、コーヒーが美味しく飲めそうなものもある。美味しくコーヒーを飲めそうな気がして一番安いドリップコーヒーを買っていた。オシャレケトルでお湯を沸かす。お湯が沸かしてる最中ですら洗練されていた。

ケトルが細長い口だとお湯が少しずつ入るのでドリップコーヒーに向いている。説明書通りに作る。コーヒーの匂いが立ち込める。いつもの部屋掃除が終わってインスタントコーヒーの香りよりも深く柔らかい気がした。


掃除もしなくていい、ほんのりと日の光が入る部屋で飲むコーヒーはよかった。やってることはTwitterや読書と大して変わらないが何だか違う気持ちになれる。ベッドでのんびりしながら過ごす時間は格別だった。


先日旅館の料理を多くて廃棄前提だとツイートした人がいたが、宿泊施設は一種の現実逃避する場所なのでお門違いだ。普段見ない料理や盛り付けにワクワクし、食べて心が満たされ、温泉に浸かり体も心も温まる。外食前におにぎりを食べたり水を飲まなくてもいい、家事もいらない。いわば現実逃避・非日常を味わえる場所だ。



ビジネスホテルはオートロックで女性専用フロアロックもあるところやルームキーがないとエレベーター移動ができないところもありセキュリティが高く、プライバシーが守られられる。他人との交流もなく人の目を気にせずにのびのびとできる。遊ぶことだって可能だ。


ビジネスホテルをなかなか使わないためホテルは殺風景で清潔感の広がる空間だと思ったがホテルによってカラーがある。ホテルだって生き延びるために必死だ。観光客だけでなく非日常を求める客もいる。なかなか揃えられないオシャレ家電に囲まれて過ごすのもよかったし、心が満たされた。普段使ってない家電でちょっとだけしないことをする、という部分がミソだ。家に同じ家電があっても楽しめるだろうが、楽しさは半減するだろう。高下駄を履かずちょっとだけグレイトなことをするというのがいい。日常に見せかけた非日常で、日常が嫌になっても逃げ込める気がする。足を伸ばしてもぶつからない大浴場につかり、(足がぶつかる湯船でもいい)も浸かりご飯を食べる。ちょっとだけ違う朝を迎えられて、ほんの少し元気になれる。


ビジネスホテルの家電はショボいとナメていた部分もあったが場所による、ビジホで飲むコーヒーは美味しいと新たな知見も得られた。



またこのホテルでコーヒーを飲みたい。