アラサー女の話

朱に交われば赤くなる

ビジネスホテルに用もなく滞在するのが好きだ





ビジネスホテルの無機質で殺風景な雰囲気が好きだ。必要最低限なものだけ設置し、清潔感のみが存在する、誰の痕跡や生活感のない無機質なあの感じがたまらない。誰のものでもない、しかしどんなものでも受け入れてくれる、しかもパーソナルな空間というところがいいのだ。



以前からビジネスホテルに用もなく宿泊したかったがなかなか勇気が出なかった。今回新型コロナウイルスが流行し、ホテルの値段が安くなり、緊急事態宣言も解除されたので宿泊した。一人での宿泊だ、ソーシャルディスタンスも保てる。ウイルスが後押しするなんて皮肉だ。


ホテルは大浴場があるところを中心に検索する。家と違う場所に行くのだ。お風呂だって足を伸ばして入りたい。朝食バイキング付きの方が良かったが、コロナの影響でバイキングは中止になったところが多かった。残念。


ホテルでチェックインし、部屋に入る。普段は夜にしかホテルに着かないので何だか落ち着かない。

部屋を軽く探索しアメニティを確認し、エアコンの設定を変えベッドにボフンと体を埋める。アメニティの熱いお茶をちびちびと飲み何となく慣れていない部屋でスマホを眺める。無性にムラつく体を慰めるために、密室で体をまさぐり、じわじわと達する。残念なことに家にいるときとやってることは大して変わらない。


遊んだ後でもあり空腹でもあったため食糧を探しに、フロントでもらった地図を開き店を探す。コンビニで流行りのスイーツを買い近くのスーパーで惣菜やお酒を買う。なるべく健康に悪そうなジャンキーなものを。どんなに買っても2000円超えない。財布にも優しい。不思議なもので居住区が違うだけでスーパーのラインナップも客層も違う。狭い価値観が少しだけ広がった。


入浴ラッシュを避けるために17時頃に大浴場へ向かう。コロナの影響か、日曜に宿泊した影響かわからないが誰もいなかった。程よく汗を流し体を洗う。脚を伸ばしても浴槽に当たらない。ガラガラの大浴場を独占し脚やお腹や鎖骨のマッサージを湯船で行う。緊張が解けたおじさんのような声が出たが、1人。誰も見ていない。家よりものんびり過ごせた。


風呂で温まった体をゆるめのホテルの浴衣に包み、部屋に向かう。

肌荒れ防止のためにいつも23時までに寝て、お酒は人と会うときぐらいしか飲まない。脂っこいものを20時に以降に食べるなんて言語道断だ。アルコール度数5%の液体が理性を薄める。普段しない真反対のことからか背徳感からかアドレナリンもガンガン分泌される。YouTubeで好きなバンドの歌を流し歌い踊い下着姿で一人でゲラゲラ笑いベッドで飛び跳ねた。Wi-Fiも整備されているので通信が速い。飽きたらいつものようにTwitterを開きネットの世界へ潜る。飽きたら本を読んだりネットサーフィンをする。本当にやってることはいつもと変わらない。


冷房のききすぎた部屋で布団にくるまって眠るのは非健康的でクセになる。加湿器をつけたりビチャビチャのタオルを干したが喉はちょっとガラガラになった。



折角ホテルに泊まってるのだ。普段は絶対しない朝風呂もする。満喫しないと勿体ない。


朝風呂でいつもより化粧ノリの良くなった肌に上機嫌になり部屋に戻り再び眠る。チェックアウトギリギリまで滞在し、前の日に買った朝ごはんを食べホテルを後にした。







今回はしなかったが、好きな本を読んだり、自分が思うことに考えをまとめたり、好きなおもちゃをたくさん持ち込んだり、美容に費やすのもいいかもしれない。あるいは資格の勉強やリモートワークなどにもいいかもしれない。目的を持って宿泊するのもきっと楽しいだろう。




今までビジネスホテルは寝るためだけの場所と思っていたが予想外の発見だった。



ビジネスホテルの宿泊はとんでもなく楽しかった。近いうちにまた行きたい。