こんばんは。いつもブログを読んでくれてありがとうございます。
ちょっと暗い話です。
少しだけ気持ちの整理ができたので書かせてください。
彼は私より一回り以上年下である。私のJ K時代に生まれ、とても若い。ドラえもんの声はわさびさんしか知らない世代だ。
算数が苦手でクリームパンと名探偵コナンが好きで笑顔が可愛い男の子だった。
初めて会った頃は永久歯に生え変わっていて前歯が抜けていた。一見するとどこにでもいるわんぱくな男の子だった。
しかし、彼は病気であった。
治療法はあるが完治しない、不治の病だった。そんな風には見えないぐらい彼は元気でぴょんぴょん飛び跳ねて遊んでいた。
流行りに便乗して去年名探偵コナンの映画を観た。彼がコナン好きなことを知っていた私はコナンを見たことを彼に話した。
2018年のコナン映画はゼロの執行人、通称ゼロシコだ。
1人では映画館に行けない彼は親に映画を見たいと頼んだ。親は苦手な算数ドリルを頑張ったらご褒美に映画に連れて行く約束をした。
彼は「ドリルをしたらコナンを観に行けるんだよ!」
私は「5連勤終わったら応援上映に行くぞ!風見裕也に務まってるって応援しなくちゃ!!降谷さんは日本を抱く男!!最高!」
それぞれ映画に思いを馳せて映画の為に頑張った。
映画観賞後、私と彼は映画の感想を話した。安室透と元太くんぐらいの年齢差を想像してほしい。
彼はコナンくんの推理や少年探偵団の活躍を応援する気持ちであったが私は風見裕也の成長や安室透の女を味わいたくて応援していた。
映画コナンは大人でもよく分からない言葉が出てきた。それでも話はできた。純粋か邪かは違えど、同じものが好きで応援する気持ちには変わりはなかった。
しかし彼と私が好きなものを話せる時間はそう長くなかった。病気が進行し続けていたのだ。治療のために彼は病院に入院した。点滴の治療や放射線を体に当てたと母から聞いた。
治療後、久しぶり彼に会った。
彼は痩せ細り、髪も抜け、車椅子に座り私と話すのがやっとであった。笑顔もなかった。大好きだったクリームパンも食べられなかった。数週間で大きく変化してる彼を見てうまく接せなかった。
あんなにニコニコ笑顔で走り回っていた彼が歩くことすらできない。探偵団バッジを誇らしげに私に見せに来ることもない。目があったら手を振ることもしない。同じあの子のはずなのに目の前の彼を信じられなかった。
とうとう彼は来なくなった。なんだか悪い予感がした。風の噂で彼は亡くなったんだと知った。
彼と知り合って1年も経ってない。付き合いが浅い私でもとても悲しく今だに信じられない。
彼をずっと側でみてだんだん悪くなっていくのを感じていた両親はきっと身を引き裂かれるような思いだったかもしれない。
病状が悪化し子どもの苦しむ様子を見なくてよくなり、ホッとしたのかもしれない。大きな喪失感を伴って。
彼の人生は短かった。彼は運動会に出たかったと言っていた。クリスマスプレゼントもお年玉も、もっともっと貰えたはずだった。
そして、嬉しいことも楽しいこともきついことも、もっと経験するはずだった。
名探偵コナンのゼロの執行人を見るたびに私は彼のことを思い出すだろう。熱度や方向性が違う純粋なファンと話した時間はとても楽しかった。
いのち短し、生き抜けオタク
沼やジャンルは変われども
推しに課金し突き進め。
ご冥福をお祈りします。