アラサー女の話

朱に交われば赤くなる

新たな食の楽しさを見つけた話



今日は誕生日だ。

折角なので

かなりいいお店でランチをした。

どのぐらいいい店かというと

覆面調査員が食べて星をもらったお店だ。



数日前に社会経験!という勢いで

予約の電話をした。


電話で店主の名前を出されたり、

事前の予算やアレルギーなどを尋ねられた。

サービス料は別途と言われた。

普段そんなお店に行かないし、

言葉遣いは大丈夫か気になり、

電話だけでもどっと疲れた。




ネットで和食のマナーを調べ

香水はつけず、おしゃれして

財布の中身を補充して、

お腹が空くように運動をして、

時間10分前に着いた。


ランチは予約制で私だけだった。

季節の植物が飾ってあった。


店員に席を案内されて、

ドリンクを頼んだ。

当たり前だが、声をかける前に、

店員が注文を確認に来る。

ネットの知識が役に立った。


そうこうしてる間に料理がやってきた。

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本当に美味しい。

よく、美味しいと無心で平らげるというが、

違った。



平らげるのが勿体なかった。

このメニューは栗や銀杏、鮑を使っていたが

食材の盛り付けや器、香り、舌触り、味、

どの点に於いてもすごいのだ。

柚子の香りがしたが、食欲をそそるのに

この香りをずっと嗅いでいたいと思った。

柚子は冬のイメージがあったが、

秋に入りかけたときの柚子もいいなと

思った。

食事を口に入れるが、

だしやゆずの風味は確かにある。

食材(栗やあわび)のポテンシャルを

生かしていた。

味や暖かさも舌触りなども柔らかい。




目で食べ物を見て、香りを楽しみ、

食べ物を口の中に入れる。

途中で味をもっと知れると思い、

口に入れるときは目を閉じた。



野菜や米にしても噛めば噛むほど

味が深まって幸せな気持ちになった。



味覚だけでなく、嗅覚や触覚、視覚、聴覚

全ての感覚を研ぎ澄ませ、口に入れる。

どんな味なのか丁寧に感じ、向き合う。

五感全てで味を受け止める。

食べながら、五感がチューニングされていく

そんな感覚すらあった。


この幸せを該当する語彙を頭で必死に探す。

「美味しい」と一言でまとめられるには

勿体なさすぎたし、

言葉にしたくなるような幸せだった。


そんなこんなで過ごしたらデザートも

食べおわっていた。


お値段は5300円。

ランチでこの金額は高い部類に入るが

美味しいのジャンルというか、

次元が違っていた。

でも、また特別な日にめかし込んで

食べに行きたくなる魔力すらあった。



店員や店の雰囲気良かった

何より私のような若輩者でも

緊張しすぎないように、

味が分からなくならないように

配慮していたのだろう。

臆せず店員に美味しいことを

伝えられていた。




五感をフルに使って食べることが

こんなにも贅沢で官能的で素敵なことだと

改めて感じた。

コロナの感染拡大で

飲食店に行く機会が極端に減ったが

お店で食事と向き合うのが

とても楽しかった。




勇気を出してお店に行ってよかった。