アラサー女の話

朱に交われば赤くなる

ジェントル寄りのサディスティック






女性は不思議な生き物で排卵日が近くなるとホルモンの影響で肌が綺麗になるそうだ。




交際関係の相手はいる。しかし、性的な関係はない。そもそも交際しているかどうかも最近じゃ分からなくなってきた。


新型コロナウイルスで国から大々的に外出をするな、人との接触を減らせ、との文言は合法的な口実となり心のどこかでほっとしている。



元来人との接触は少ない方だが、不要不急を禁止されたら、不要不急を求める。禁止されたらより魅力的に見える。そういうものだ。

アラサーの性欲が増しつつある体に外出自粛はしんどい。


接触なんてできる勇気もなければ、そもそもコネもない。



妄想は甘い疼きへと変わる。

連絡先すら知らない年上のおじさんが出てくる。声がどタイプなのだ。

誰も触れてないはずなのに、

見られてもいないはずなのに、

囁かれてもないはずなのに、

しっとりと肌が湿る。

体がねっとりとした熱さを帯びる。

布団の中に獣の匂いがたちこめる。

あられもない声が出る。

以前は声が出るのが恥ずかしかったが、

どうでもよくなってきた。


時々同じマンションの男子大学生の声や

子どもが遊ぶ声も聞こえる。




ぼんやりとしていく意識のなか、

大嫌いなクソ真面目の成分が

私の中から抜け落ちていく。

ほんの少し新たに再生される。



ジェントル寄りのサディスティック


どれだけ切望しているのか。

痛いことや暴言を吐かれるのは嫌だ。


ほんの少し子供扱いされて甘やかされながら

何も考えれなくなりたい。飴マシマシの鞭少なめで甘やかされたい。




あんなに体の感覚を支配されて、

気持ちいいだなんて、知らなかった。

支配だなんて言ってるけど、怖くなくて

ずっとあの感覚に溺れられるなら

どれだけ楽しいんだろう。


人に裸を見られる恥ずかしい状況なのに快感を伴わないのは勿体ない。

恥ずかしい状況ならそれなりに

得るもの得ないと馬鹿馬鹿しい。

交際関係にあった相手から性的欲求を向けられたことがない。よく手を出さないのが愛情だ、という主張を見かける。しかし、信頼関係ができた上では失礼だ。ホルモンバランスが整い、生物的に妊娠できる(発情されやすい)状態なのに誰からも抱かれないだなんて満開の桜をチェーンソーで切り落とすようなものだ。据え膳食わぬは男の恥、だ。

桜はまた咲くが、女体はずっと同じように保てない。

クソ真面目な見た目と性格をしているが、

そうじゃない人と同じように性欲がある。

忘れられがちだが、存在する。

私だって交際関係にあたる人に欲情されてみたい。人間だもの。



残念なことに体の感覚を支配されるような強烈な快感はあれ以来なかった。


あの快感を求めて体や精神的なコンディションをチューニングする。



自分じゃない自分になんて、なれない。

それでも違うものになりたくて

嫌な自分の成分が薄まる気がするのだ。




早く新しいおもちゃと

私に勃つちんこを切望して。