アラサー女の話

朱に交われば赤くなる

捨てる神もいれば拾う神もいる



こんばんは。

いつもブログを読んでくれて

ありがとうございます。

秋をすっ飛ばして冬が来つつありますね。

この時期になるといつも思い出すことを書きます。








私は仕事ができない。仕事を始めて1ヶ月目、上司から「あなたはみんなが1年で出来るようになることを5年かかって出来るようになる。」そう言われた。発言内容の判断は上司しか出来ないが、仕事を始めて45年経つがようやく慣れてきた。私の職場は他職種が入り乱れている。



1年目の頃周りの同じ職種の人が敵に見えた。上司からお墨付きを受けるレベルで不器用なのだ。怒られる回数や怒りの爆発度もどの同期よりも上回っていた。不器用でコミュニケーションが取れない私は同期を苛立たせていた。あからさまに対応が違った。誰にも相談できなかった。同期も含め同職種が敵に見えて仕方なかった。


敵から攻撃を受けないように、クレームをつけられないように、誰彼問わず姿を見つけた瞬間、大きな声で挨拶をした。挨拶を飛び道具のように、相手のクレームの息の根を止めるように、人を見つけた瞬間挨拶をした。


挨拶をして、敵から好かれることもなかったが嫌われることもなかった。しかし、別職種の人からは声をかけられた。


うんと年上の清掃係の女性だった。母親よりも年上で祖母よりも年下。おばちゃんというような年代だろう。彼女は私の挨拶に笑顔で返してくれた。


職場の前で足が立ちすくむこともあったが、彼女から挨拶を返してもらいたい、その思いで職場の中に入ることもあった。しんどい顔をしながら私を見て飴をくれた。先輩にバレないようにこっそり舐めた。人格否定をされながら怒られることもあり、泣きそうになっている私を見かねて掃除用具置き場で励まされたこともあった。


同期から「あのおばちゃん、あなただけ優しくて、私は挨拶返されない。」と言われた。同期は先輩と笑顔で話せてプライベートでも会っていたので発言に心底苛立った。



あるとき私はそのおばちゃんに思い切って「どうして私に優しくするんですか?」と聞いた。私に優しくしても職場で権力を持ってるわけがない。出来の悪い新人だ。メリットがない。

「あなたを見ていると応援したくなるのよ。私は仕事で清掃をしてるけど、馬鹿にする人も多い。この職場にもクソみたいな人がいるよ。でもプライドを持ってやってる。自分のことで大変だけどプライド持ってやりなさい!私はあなたの味方よ。」そうおばちゃんが言った。

意味は理解できなかったが、おばちゃんの気持ちが嬉しくてほんの少し泣いた。


その後、目元が赤くなった私を見た先輩は少し不思議そうな顔をしていた。


その1ヶ月後おばちゃんは、仕事に来なくなった。木枯らしが吹き始める時期だった。家族が亡くなり仕事ができる状態じゃなくなったそうだ。


突然おばちゃんに会えなくなったこともだが感謝の気持ちや助けてくれたことに対するお礼を言えなかったことが悲しかった。




おばちゃんが去って3年以上経った。それ以降彼女と会ったこともない。辛いことも嬉しいことも経験した。相変わらず職場で人間関係を築くのは苦手だが、職場の前で立ちすくむこともなくなった。





おばちゃんの言うように

「仕事にプライドを持っている」とは思えない。しかし、自分の仕事が周りにどう影響するのか、いい方向に持っていきたいと思えるようになった。



同じコミュニティの人とは悲しいぐらい関係を築けない。同期や友人の職場の話を聞いて経験したことないばかりで正直理解できない。羨望、嫉しさすら感じる。




しかし、辛いときに助けてくれた人がいる。

その事実だけ大切にしていきたい。その人が同じコミュニティか違うコミュニティかはたまたインターネット内の繋がりか、大差なくどれも等しく大切だと思いたい。