アラサー女の話

朱に交われば赤くなる

甦りの地、紀伊・熊野

 

和歌山県に旅行に行った。

 

和歌山県に誰かがいるわけではない。

たまたま長く休みがとれ、

長野県で山の良さを知り、

熊野古道で山歩きをしたかったのだ。

せっかくなら

熊野三社にも行ってみようかな、と

雲より軽いミーハー心でプランを立てた。

 

 

一睡もせず仕事した後バスを乗り継ぎ

飛行機に乗った。

雨も降っており寒かった。

 

寒さと眠さと紛らわせるために

リンドールの丸いチョコレートを

口の中で溶かす。

それでも紛れない。鈴最中を食べる。

飛行機も20分ほど遅れた。

眠気と疲れや土地勘もないせいか、

電車を4回乗り間違えた。

 

合計9時間近くかかり

やっと和歌山県のホテルに到着した。

 

一人旅史上最悪なスタートだった。

 

眠気を我慢してやっとついたドーミーイン。

夜鳴きそばと温泉が

味方してくれてるように感じた。

朝起きて、心のふるさとプレミアムでバイキングで梅やクジラの竜田揚げを食べて体力とテンションゲージがあがる。

 

パンダの顔をした特急くろしおに揺られ、

3時間かけてマグロの町へ向かった。

 

太平洋側の海はとても暖かくて綺麗だった。

 

 

どの場所も心に残ったの土地に分けて書く

 

那智勝浦(那智大社

那智勝浦から那智大社までバスで行けるためバスに乗り込む。乗客の性別、国籍、年代はバラバラだろうがトレッキングシューズを履いていた。親近感がわいた。

 

大門坂という有名な坂を歩きたかったので、

そこで降りた。

 

大門坂では平安衣装を貸していた。

思い切って平安衣装を着て大門坂まで登った。

視線を感じてたら一人旅なんてできない。

旅の恥はかきすて、だ。

 

平安衣装を着て坂や階段を登った。

履き慣れない草履や慣れない着物もどき?や

市女笠を被り歩くのは骨が折れた。

でも周りの人達が私の姿を見て

「綺麗」や「beautiful!」といわれたり

何故か一緒に写真を撮るのはおもしろかった。

平安衣装サマサマだ。

 

写真でみた坂は鬱蒼とした森の中で階段に苔が生えてるかと思ったがそんなことなかった。

いい意味で明るかった。

坂は綺麗だったが、登り切り、やっと那智大社那智滝が見えた瞬間ほっとした。

木をくぐる胎内めぐりをした。

ちょっと考えれば分かるが、

市女笠を被る平安衣装ではおすすめできない。

 

まぐろ料理

マグロで有名な土地なので、

まぐろ料理屋に行くことにした。

リサーチするとどの店も美味しそうだったので、直感でお店に入った。

トロが食べたかったので大将に聞いたら、

1000円でいろんな部位が食べれる

まぐろの刺身盛り合わせを勧められた。

せっかくなので、頼んだ。

 

 

一皿3500円!普段食べる倍以上の価格だ。

旅割クーポンありがとう。

 

 

 

刺身の分厚さから違う!

キャラメルの数倍の厚さで

スーパーの刺身の2倍はあるだろう。

全然生臭さもないし、味が濃い。

どの部位もおいしすぎる。

脳天近くの部分も食べたが、

腐りやすいため

現地じゃないと食べられないそうだ。

私の知ってるマグロじゃない。

肉を食べているような気持ちになった。

 

グルメな人が「味の薄い部分から食べて、味の濃い部分は後で食べるといい」と言ってた意味がわかった。

 

会話の中で500キロ以上離れたところから

来たことを伝えると、サービスしてくれた。

マグロが好きになった。

那智勝浦はマグロの町と呼ばれるだけあり、

マグロの料理が多い。あと、昭和チックな

街並みもよかった。

 

 

熊野本宮大社

この旅のメインだ。山道にバスが大きく揺れながら空き家や限界集落を通り熊野本宮大社へ向かう。ハイキング初心者は発心門王子から、本宮に向かう。およそ8キロ弱の道だ。

写真で見てた山道だけを歩くかと思ったら、民家近くの舗装された道を通ったり、無人販売があったり、交流ノートがあったり住民と古道が繋がってた。

よく写真や映像で見かける杉の木がたくさん生えてる道を歩く。私の他にもたくさん歩いてるはずなのに、しんとして、音も聞こえない。ただただ、空気が澄んでて体内にたくさん入れたくて深呼吸をする。気持ち良くて歩きながら何回もした。神の存在はわからないが、歩き進めるうちに気持ちも澄んでいく。古道がドロドロとした感情を浄化してるようだった。

たまに会う人を見ると、国籍や性別関係なく会釈や挨拶をする。街中なら絶対しないが山は不思議だ。

平安時代に熊野本宮に行くのが当時のトレンドだったらしいが、GPSも天候の予測も服や靴の装備や食べ物の確保もうまくいかない時代によく歩いたものだと感心する。多分命懸けだっただろうね。

 

熊野本宮までのキロ数が短くなるとホッとした。本宮大社は思ってたよりもシンプルだった。それでも手入れがされていてなんかよかった。中国語圏の観光客がいた。

お参りして御朱印をいただいて御神籤を引いた。おみくじは吉凶ないタイプだった。八咫烏せんべいをたべた。自撮り棒持って自撮りしまくった。

 

熊野速玉神社・神倉神社

ホテルに戻る前に時間に余裕があったので、

寄ってみることにした。速玉大社は街中にありバスを降りて向かう。古道を歩いた足は思ったよりも疲れていた。御神木が優しかった。

神社は鮮やかで可愛かった。

速玉神社に向かってる最中の看板が気になり、

距離も遠くなかったので、予定になかった神倉神社に行くことにした。

 

‥死の危険(物理的)を感じるとは知らず。

 

神倉神社の前に傾斜がすごいと

立て看板があった。

あまり気に留めず読んで神社に向かった。

神社への道を見る登り進めると

あまりにも傾斜の激しすぎる階段が見えた。

これやばいやつだ。バリアフリーもブチギレる傾斜だ。階段というか最早崖だった。

 

3割ほど歩いた位置にいたので、

引くこともできたが、

わざわざ遠くから来たことや

山登り装備をしてるし、

次いつ来れるかも分からない。

 

怪我しないように

ポケットに入れてた自撮り棒を

リュックにしまう。登ってる時に

手元が狂わないように準備する。

足場を気をつけながら11歩進む、

傾斜が激しすぎる場所もあるので

よじ登るようなところもあった。

 

泣きべそかきそうになりながら、

20分ほどかけて、やっと登り切った。

パワースポットらしいが、

パワーのあるなし関係なく

物理的に死にそうになりながら登ったから、

そりゃパワースポットになるわ。

 

パワースポットのゴトビキ岩

 

傾斜の激しい階段は登るよりも

降りる方が骨が折れる。

山を歩きへとへとの体で

直角の段の狭い階段を歩くのは危険すぎる。

歩けるところは歩いたが、

お尻を下ろし、ずりずりと降りた。

 

歩けないとホテルにすら着かない。

山歩き用に持ってたラムネを口に入れる。

口に入れると疲れがすっと軽くなった。

ラムネって本当にすごいんだね。

 

ホテルに戻り、

夕ご飯を食べる。

誰かが作った温かい料理が

体に入るたびに

エネルギーが満たされていった。

温泉に行く。

疲れも取れて、相棒を見ながら

いつのまにか爆睡していた。

 

温泉付きのホテルにせっかく泊まったのだ。

早起きして温泉に向かう。

誰もいない大きな湯船につかり、

外を眺める。

 

お風呂が終わると朝ごはんの匂いがする。

一人暮らしをしてると

ほぼないので嬉しくなった。

 

朝ごはんもたくさん食べ、

オーシャンビューの部屋から

コーヒーを飲みTwitterをした。

とても贅沢な時間だった。

 

そうこうしてる間に帰る時間が近づき

12時間近くかけ家路に着いた。

 

 

 

同じ和歌山県内を移動するだけで

3時間以上かかる。

正直アクセスは良くない。

 

 

熊野や熊野三社は甦りの地と呼ばれている。

甦ったかどうかは分からないが、

歩いてるときは邪な心がなくなったのは

事実だ。

 

スタートはよくなかったが

天気も恵まれ、怪我もなく

犯罪も巻き込まれず

楽しめてよかった。

 

 

和歌山の海辺と有田市のミカン山の景色は

圧巻でみかんの収穫時期に行けてよかった。

多分行かないと分からないことだと思う。

 

また行くから待ってて和歌山!