アラサー女の話

朱に交われば赤くなる

回春

 

 

女王蜂の十二次元の収録曲

回春を参考に物語を書いてみた。

 

売春を参考にしてるところもあります。

解釈違いもあるかもしれません。

 

売春に対して以前書いた記事

https://tnyanya.hatenablog.com/entry/2020/03/25/203323

回春

回春

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売春

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連絡先はどうしても消せなかった。

消す勇気もなかった。

連絡先を見て何度も文章を考え、消して

当たり障りのない言葉を書いた。

 

8年前に出会った彼へ。

 

 

 

回春

 

 

 

 

 

彼とは恋人のような関係だった。

 

しかし年上の彼の薬指には

指輪が光っていた。

 

彼は私の春を奪い、私は支配者となった。

 

彼は湿った肌についた傷をつけ、

心があの体温や声を求めた。

左手の薬指に指輪がついてる人と

恋愛しちゃいけないなんて、

子どもだった私でも知っていた。

 

 

寂しさに勝てなかったのだ。

 

みんなが放課後にマックでだべったり、

制服でカップルでプリクラを撮るのとか、

浴衣を着て好きな人とデートするとか、

興味ないフリしてたが、やりたかった。

 

でも、なかった。

 

羨ましくおもう気持ちが見透かされないように

髪を明るく染め、マスカラをたくさんつけ

アイライナーをぐりんぐりんに引き 

縁が大きい明るいカラコンをつけ、

似合ってない化粧をして強がった。

 

 

体の関係に暗証番号も

カードもいらない。

傷まみれでボロボロの私でも

受け入れてくれて、ただただ嬉しかった。

 

 

久しぶりの彼とのやりとりに

返事がないかと、何度も携帯を確認する。

あの頃が鮮やかに甦る。

 

私は最初に彼と出会った年齢になった。 

逆さまだったらどうしたかな、と

考えてみる。

 

8年の月日は私と彼の関係が変わった。

うわべの言葉しか言えなくなった。

錆びついたハサミでも切れそうな

関係になってしまった。

お互い共犯者だったのに。

 

気まずい空気を変えたくて

近況を話す。

同い年の彼氏ができたことを伝える。

電話口で「お幸せに」と言われた。

口調は変わらずに。

電話を切られないように

思わず早口で返した。

同い年の彼が起きなくてほっとした。

 

 

時間が薬、と美女が言っていた。

 

彼がつけた肌の傷は薄れている。

それは私が彼を支配したことも

彼の指輪を傷つけないように抱かれたことも

なくなってるようだった。

 

あの頃の過ちが

思い出になってしまう。

いつまでも忘れないようにしてたのに。

 

 

 

 

もうすぐで春だ。

 

桜は散れど、

また、春が回ってくる。