イギリス発祥の喫茶文化のアフタヌーンティーだ。2〜3段の皿にサンドイッチ、スコーンやケーキなどが陳列してるアレだ。
ここ5年ほど行きたかったのだが、
踏ん切りがつかず今に至った。
アフタヌーンティーを検索し、ホテルの喫茶で行われていた。インターネットで予約した。
結果、すごく良かったが、ちょっと恥ずかしくなった。
行ったところがホテルの中のラウンジ・カフェでだった。アフタヌーンティーセットも前菜も紅茶も美味しかった。3枚のお皿の上にちょこんと載ったスイーツが可愛らしく無音カメラで写真を撮った。
可愛さとサービスに感動した後、食べようとした際あることに気づいた。
皿の上に載った可愛らしいスイーツをどう食べるんだろう‥?トングないし、どうやって取り分けるんだろう‥?勢いで予約をしたので盲点だった。
席にフォークとナイフがあるから、多分これを使うんじゃなかろうか‥。使わないなら置くことないだろうし‥。と推測しながら、うすら覚えのマナーで、皿への移動がしやすい下段のサンドイッチをなんとか手元の皿へ移動した。
移動後も、「サンドイッチやスコーンはそもそも手で食べるの?ナイフ?口の大きさだと食べれるけど、スコーンもサンドイッチも普通手で食べるし‥。」と悩み、スコーンとサンドイッチは手で食べた。
うまくケーキを移動できず、ケーキを1つ落としてしまった。家なら3秒ルールで食べれるだろうが外ではそうはいかない。
泣く泣くケーキは諦めた。
味も雰囲気も店員の態度も良かったが自分に少しだけ情けなくなってしまった。
誰かと行ってたら余計辛くなってたかもしれない。
世の中様々なマナーがあるが、
本当に必要かどうか分からないものもある。
ビールのラベルを上にして注ぐとか、
オンライン会議で上座下座を設けるとか、
オンライン場に刃物で斬り込む人がいるわけじゃないのに。
ちょっとお高めのレストランは、大抵の人は家の近くのコンビニのように利用しないだろう。
ある人は人生の節目のお祝いために、ある人は大切な誰かに想いを告げるために、またある人は自己のご褒美のために利用するかもしれない。
(‥人生最後の食事のために利用しているかもしれないが、そこは分からない。)
少なくともふらっと寄って食事する場所ではない。
ちょっとだけ背伸びをして、ラグジュアリーさを味わおうとしてる中で、注文の声や食器やカトラリーのカチャカチャとした音、咀嚼音やすする音が溢れ、寝起きや毛玉だらけの服を着てる人がいたら、場に合わないのは明らかだ。
お高めのレストランは料理だけでなく場の雰囲気や店員のサービスも含めて非日常を味わうために来てるだろう。プロポーズ中にカチャカチャと食器が触れる音が鳴ったり、大声でメニューを注文するのは非日常をぶち壊す行為かもしれない。
カトラリーの位置やナプキンの扱い方など、
日常生活では使わない声を発さない意思表示方法なのかもしれない。またその作法で意思表示をしなければ、その場にそぐわないと
メタメッセージを含んだ客への足切りの意味もあるかもしれない。
マナーが分からず萎縮するのはよくないだろうが、他の客や店員を不快にさせるのはもっとよくない。マナーはそういうためにあるのだと思う。
このご時世、サービス料が発生する場所でご飯を食べる機会が減るだろうが、その場に合った格好や振る舞いは人間付き合いで不快にさせないためにも必要だろう。
お金を払えば経験できるが、苦手意識を持ち不快な経験になるのは嫌だ。